- Kotlinをメイン言語としてフリーランスで稼げる?
- Kotlinのフリーランス案件の単価は?求人数は?
- Kotlinが活かせる仕事の種類ってどんなものがある?
KotlinはAndroidアプリ開発を中心に近年で流行しているプログラム言語です。しかし、案件が高単価になりがちで、職種のカバー範囲も広い(Androidアプリ以外でも使える)からと、すぐ飛びつくのはキケンです。
まだKotlinの求人案件数としては決して多くは無いので、言語の特性を知った上で活かせる業種を把握すべきです。
私はエンジニア歴21年の中で、会社やプライベートでC/C++のようなレガシー言語からトレンド言語まで幅広い開発をしてきました。しかし、その時の状況に対して不向きな言語を選択してしまう失敗もたくさんしてきました。
この記事では、Kotlinの特徴、フリーランス案件の単価相場・求人数、職種、将来性について解説します。
この記事を読めば、「自分はKotlinを学ぶべきか?」「どう活かしたらよいか?」の判断ができるようになります。
【結論】
KotlinはAndroidアプリ開発では習得必須。高単価になりがち、学習コストが低い、職種のカバー範囲も広い、etc.の理由で、習得の優先度が高い言語。
「Kotlin」とは?
本章ではKotlinが「なぜそんなに人気なのか?」「習得をおすすめする理由」をその特徴を踏まえて解説します。
Kotlinの特徴
Kotlin(コトリン)は2011年にJetBrains社が開発した静的型付けのオブジェクト指向言語です。2017年にGoogleがAndroidアプリ開発の公式言語としたことで、一躍脚光を浴びました。
コンパイルされたKotlinコードはJava VM(仮想マシン)上で動作するため、Javaの開発資産が流用できる点が大きなメリット。KotlinではJavaの文法をベースに、同じJVM系言語であるGroovyやScalaの機能や構文が採用されています。
JVM系言語が様々な動作環境で動くため、KotlinはAndroidアプリ開発だけではなく、デスクトップアプリやWebサービスなどの開発でも使われます。
ちなみに、iOS/macOSのアプリ開発言語としてはSwiftが使われます。
【補足】KotlinとJavaとの違い
Kotlinは「Javaの簡潔化と安全性の向上」を重視して開発された言語。そのため、Javaと比べると記述がシンプル。
またKotlinが持つ「Null Safety」という仕様により、Null参照を原因とする実行時エラーを防ぐことができるため、Javaに比べて安全なシステム開発ができる。
【補足】KotlinとScalaとの違い
KotlinとScalaは同じJVM系言語であり、両者はJavaの代替として注目を集めている。しかし、Javaとの互換性があるのはKotlinだけ。
KotlinがJavaを踏襲したオブジェクト指向言語であるのに対し、Scalaは関数型プログラミング言語。
KotlinはScalaに比べて学習コストが低い。
JavaやScalaが採用されていたJVM系の開発もKotlinに置き換わるケースが増えている!
Kotlinの特徴のまとめ
- コンパイル型の静的型付けのオブジェクト指向言語
- Androidの公式開発言語
- JVM系言語のため、Webバックエンド開発などにも使用可能
- Javaの簡潔化と安全性の向上を重視して開発された
- JavaやScalaに比べて学習コストが低い
フリーランスがKotlinを学ぶべき4つの理由
目指したい職種にもよりますが、Kotlin案件に関われる機会や学習の機会があれば、積極的に活かすことをおすすめします。
Kotlinがおすすめな理由は、比較的カンタンに習得できるにも関わらず、案件が高単価になりやすいコストパフォーマンスの高い言語だからです。
Kotlinを学ぶべき4つの理由
- 【学ぶべき理由1】JVM系言語の基礎をカンタンに学べる
Kotlinを学ぶことでJavaにも必然的に触れるため、Javaを介してJVMの基礎が理解できる。 - 【学ぶべき理由2】案件が増加・高単価の傾向にある(とにかく流行っている)
人気急上昇中で求人案件も増加中。売り手市場で高単価になりやすい。Android公式言語のため、その地位は安泰。 - 【学ぶべき理由3】Androidアプリ以外でも採用のケースが増えていく
Web系バックエンド開発などを中心に、Androidアプリ以外でもKotlin採用のケースが増えることが予想される。 - 【学ぶべき理由4】トレンドに強いエンジニアと思われる
「トレンドについていける学習能力が高いエンジニア」と企業から評価されやすくなる。
「同じアプリをAndoroidにもiOSにも搭載したい」という需要は多いのでiOS開発で使われるSwiftも抑えておくと、あなたの市場価値は更に高まります。
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Kotlinの習得の難しさは、同じ静的型付けのJVM系言語のJavaやSclalaを100点とすると、Kotlinは50点くらいでしょう。Java経験者であれば更に難易度は下がり、20点くらいになります。
Kotlinを使うとJavaに触れる機会は多い。Javaに関しては次の記事で解説しています。
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Kotlinの人気は上昇中!
Kotlinの成長度や注目度は、数あるプログラム言語でもトップクラスと言えるでしょう。
Android開発で安定した需要があることから、特に国内エンジニアからの人気は高い。人気の理由は文法がモダンかつシンプルで学びやすく、将来性があることが挙げられます。
- HackerRank社が発表した「学習したいプログラム言語ランキング」でGo言語に次いで2位
- Stack Overflowが発表の「最も愛されている言語」でKotlinの人気はそこそこ
※ 上記は2021/8/19にアクセス
HackerRank社が発表した「学習したいプログラム言語ランキング」でGo言語に次いで2位


Stack Overflowが発表の「最も愛されている言語」でKotlinの人気はそこそこ
Kotlinのアプリ開発環境やフレームワークは進化している
Androidアプリの開発環境であるAndroid StudioはKotlinを万全な体制でサポートしています。日本語のドキュメントやガイダンスも充実しているため、これからKotlinを学習したい人にとっても恵まれた環境と言えるでしょう。
また近年のKotlin人気に伴い、フレームワークは機能が豊富なものから軽量化を目指したものまで、多くの種類が開発されています。KotlinはJavaとの互換性があることから、Javaで有名なフレームワークも活かせる点は魅力的です。
Kotlinのフレームワーク
- Ktor
純正のWebフレームワークで、システム間連携のための非同期なサーバーとクライアントを構築できる。 - Javalin
シンプルでカンタンな設計ができる軽量なWebフレームワーク。Kotlinと組み合わせることでJavaの非効率コードから脱却できると高評価を得ている。 - Jooby
シンプルでカンタンな設計ができる軽量なWebフレームワーク。型安全を重視。 - Spring Boot
「Java言語での開発で有名な"Spring Framework"の機能の使い分けが困難」という欠点を克服したフレームワーク。汎用的に使え、大規模開発に向いている。
Kotlin案件の単価相場・求人数
レバテックフリーランス調べでは、Kotlinフリーランス案件の単価相場は82万円とScalaと並び第1位です。
Go言語やScalaのような最近人気が出てきたトレンド言語は、まだエンジニア数も少ないため希少価値があり高単価になる傾向があります。
しかし、求人数で見ると553件と十分に多いとは言えないため、スマホアプリ開発であればiOSアプリを開発できるSwiftを、Webバックエンド開発であればPHP・Ruby・Python、etc.を合わせて学習しておくと、案件が途切れずに稼げるようになるでしょう。
Kotlinの求人・案件の月額単価相場 ※2021/8/22時点
»引用元|レバテックフリーランス - 単価相場を比較
Kotlinを扱えるプログラマーの数はまだ多くはありません。しかし、Kotlinの学習する際の難易度は高くはないので、JavaがKotlinへと置き換わることによる求人案件の増加に連れて、Kotlin習熟者も増えてくるでしょう。そうなれば、単価も落ち着いてくると予想できます。
プログラム言語別の月額単価相場(単価の高い順) ※2021/8/22時点
言語 |
平均単価 |
最高単価 |
求人数 |
Kotlin |
82 |
125 |
553 |
Scala |
82 |
165 |
284 |
Go言語 |
81 |
145 |
692 |
Ruby |
80 |
145 |
1586 |
Swift |
79 |
125 |
929 |
R言語 |
79 |
95 |
46 |
Python |
77 |
145 |
1474 |
Perl |
73 |
110 |
280 |
JavaScript |
72 |
145 |
4119 |
PHP |
72 |
145 |
3824 |
C++ |
71 |
125 |
553 |
Java | 69 | 165 | 5791 |
C# |
68 |
115 |
1608 |
C言語 |
67 |
115 |
95 |
SQL |
65 |
145 |
1828 |
VB.NET |
61 |
95 |
600 |
COBOL |
61 |
95 |
160 |
» 引用元|レバテックフリーランス - 単価相場を比較
また、次の調査結果からもGo言語案件は求人数は少ないけれども給与が高めな状況が見て取れます。
HRogリストの給与と案件数の相関関係より、Go言語の単価の高さが顕著
「Kotlinを武器にフリーランスエンジニア案件の単価を上げたい」という方は次の記事を参考にしてください。
フリーランスエンジニアの単価相場ってどれくらい? 職種や年齢によって単価相場は変わる? 稼げるプログラミング言語は? フリーランスエンジニアの単価相場も知らずに闇雲に案件探ししていませんか? それでは、自分の[…]
Kotlin案件の種類
KotlinはAndroidアプリの開発を主軸に他にもWeb業界でのバックエンド開発でも使われます。同じJVM言語のJavaに置き換わる言語として注目されています。
- 【種類1】Androidアプリ開発案件
- 【種類2】Web系のバックエンド開発案件
【種類1】Androidアプリ開発案件
Kotlin案件の代表格がAndroidアプリ開発です。上位1,000件のAndroidアプリのうち、80%以上がKotlinを使用しています。
Androidエンジニアが担当する工程は主に次のようなもので、アプリ配信会社・自社アプリ開発部門、etc.と要件を詰めていくことになります。
Androidアプリ開発者の開発手順
- 機能仕様・画面インターフェースの要件定義
- Kotlinでコーディング
- テスト、不具合修正
- Google Playストアでの配信
主な開発環境にAndroid StudioやEclipseなどがあり、開発工数削減のためにXamarin、React Native、Flutterなどのフレームワークを利用します。
日本でKotlinを採用している主な企業は、Yahoo!(Android版Yahoo!ニュースアプリ、GYAO!など)、LINE(Android版LINEアプリ、LINE LIVEアプリ)、サイバーエージェント(Abemaなど)、その他Rettyやトクバイ、etc. があります。また、海外企業ではEvernoteやNetflixなどがKotlinを採用しています。
他にもKotlinで開発されたアプリには上図のアイコンのようなアプリがあります。
» 引用元|Androidデベロッパーのサイトより|デベロッパーの事例
この分野における競合言語は、JavaやScalaになるでしょう。
【種類2】Web系のバックエンド開発案件(バックエンド)
KotlinはAndroidアプリ開発だけではなく、Webのバックエンド開発のメイン言語として採用されてるケースが増加中です。
今まで、この分野のパフォーマンス要件が厳しい案件は、静的型付け言語としてJavaが主流でした。昔は選択肢がJavaしかなかったためですが、近年ではよりモダンな開発言語であるKotlinに注目が集まっています。
競合言語はJVM系のシステムであればJavaやScalaが、静的型付け言語を求めるシステムとしては人気が高いGo言語あたりが対象です。
しかし近年のコンテナ時代のWeb業界では、リソースを大量消費するJVM系言語より、静的型付け言語を使う傾向にあるため、この分野を狙うのであればGo言語の習得が有利になってきます。
Go言語については、次の記事を参考にしてください。
フリーランスが今からGo言語を学ぶのはアリ?ナシ? Go言語のフリーランス案件の単価は?求人数は? Go言語が活かせる仕事の種類ってどんなものがある? Go言語(Golang)は近年で大流行しているプログラム言語で[…]
Kotlinエンジニアの将来性は?
次のような理由から、Kotlinエンジニアの将来性はかなり高いと見て良いでしょう。加えて、先述の通り学習コストも高くないので、学ばない理由があまりない超おすすめのプログラム言語です。
- 【将来性がある理由1】Androidアプリの公式開発言語と認定されている
- 【将来性がある理由2】JVM系言語としてJavaを食う可能性がある
- 【将来性がある理由3】マルチプラットフォーム化が進んでいる
【将来性がある理由1】Androidアプリの公式開発言語と認定されている
2017年にGoogle社がKotlinをAndroidアプリの公式開発言語として採用したため、「Kotlinエンジニアの需要は約束されている」と言えるでしょう。
また、Javaを使ってAndroidアプリを開発してきた日本の多くの企業でも、新規の開発にはKotlinを採用することが当たり前になってきています。
それに伴い、Androidアプリ開発以外にもWebバックエンド開発の事例なども増加中です。
様々なサービスを展開しているGoogleの公認となれば、Kotlinの言語としての信頼性がバツグンに上がるぞ。
【将来性がある理由2】JVM系言語としてJavaを食う可能性がある
JVM言語として最大勢力であるJavaに対し、Kotlinに置き換わる可能性があります。
JavaがKotlinに置き換わる理由
- Javaの文法は古いため、開発者の人気が衰退気味である
- Kotlinは過去のJava資産やノウハウを流用できる言語である
- 次世代のJVM系言語の候補であるScalaは学習難易度が高く、エンジニアも少ない
IT業界で案件数No1のJava案件がKotlinに置き換わるとなると、Kotlin需要が大化けする可能性がある!
【将来性がある理由3】マルチプラットフォーム化が進んでいる
Kotlinには「Kotlin/Native」という様々なプラットフォームのネイティブバイナリを生成する機能があります。
この機能を使えばAndroid・iOS・Linux(サーバー)、etc.の様々な動作環境で動くアプリ開発ができるため、クロスプラットフォーム開発言語としての将来性もあります。
この複数プラットフォーム向け用途としてのKotlinが流行するか否かはまだまだ未知数ですが、この未来が実現すれば、先述の「JVM系言語としてJavaを食う可能性がある」による案件数増加を更に上回るKotlin需要となるでしょう。
「iOS/Android両方のスマホアプリ・PCアプリ・Webサーバー、etc.がひとつのKotlinコードで実行可能」... そんな状況になるかもしれない。
まとめ
以上、Kotlinの特徴とフリーランス案件の単価相場・求人数、職種、将来性について解説してきました。
【結論】
KotlinはAndroidアプリ開発では習得必須。高単価になりがち、学習コストが低い、職種のカバー範囲も広い、etc.の理由で、習得の優先度が高い言語。
Kotlinを学ぶべき理由は次です。
- 【学ぶべき理由1】JVM系言語の基礎をカンタンに学べる
- 【学ぶべき理由2】案件が増加・高単価の傾向にある(とにかく流行っている)
- 【学ぶべき理由3】Androidアプリ以外でも採用のケースが増えていく
- 【学ぶべき理由4】トレンドに強いエンジニアと思われる
Kotlinのフリーランス案件は、Androidアプリ開発を中心に、Web系のバックエンド開発案件などへも広がりつつあります。
次のような理由から、Kotlinエンジニアの将来性はかなり高いと見て良いでしょう。
- 【将来性がある理由1】Androidアプリの公式開発言語と認定されている
- 【将来性がある理由2】JVM系言語としてJavaを食う可能性がある
- 【将来性がある理由3】マルチプラットフォーム化が進んでいる
Kotlinの案件は多くのエージェントで扱われています。まずは次のフリーランスエージェントを見比べ、無料エントリーから始めることをおすすめします。
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以上、このブログでは、このように「会社員エンジニアがフリーランス独立して自力でお金を稼げるようになるまで」の役立つ情報を発信し続けていきます。
ではまた!