- 初心者がいきなりプログラミングスクールに通うのは有効?無駄?
- なぜ、「プログラミングスクールはやめとけ」とよく言われる?
- プログラミングスクールへ通うと良いタイミングを教えて!
プログラミングを習得したい人の多くは、まず最初にプログラミングスクールを選択しがち。しかし、目的もなく過度な期待を持ってスクールに入ってしまうと、「ついていけない」「やりたいこと違った」と後悔し、高額な費用と時間ばかりを浪費してしまいます。
現在の私は、社員数の倍の委託・派遣を抱える大手会社に属している21年のキャリアを持つエンジニア管理職です。100人以上のエンジニア採用に携わってきた経験から、「使えるエンジニア」の見極めには自信があります。
この記事では、いきなりプログラミングスクールを活用することが良くない理由について解説します。
この記事を読めば、「プログラミング初心者はまず何をすべきか」「スクールはどのタイミングで活用したら良いか」の判断ができるようになります。
【結論】
プログラミングスクール自体は有益!しかし、まだ目的も定まらない初心者がいきなり学習の一手目としてスクールへ通うことは非効率。
「いきなりプログラミングスクール」をおすすめできない5つの理由
プログラミング初心者が学習の第一手としていきなりスクールに通うことは、次の理由により非効率です。
- 【やめとけ理由1】教材の質は独学と変わらない
- 【やめとけ理由2】軌道修正が効かなくなる
- 【やめとけ理由3】効率的に学べず、知識が定着しない
- 【やめとけ理由4】悪徳スクールに引っかかりやすい
- 【やめとけ理由5】未経験者が就職サポートを受けてもろくな就職先がない
【やめとけ理由1】教材の質は独学と変わらない
初心者は「プログラミングスクールに行けば、良質な学習コンテンツとカリキュラムで学べる」と勘違いしがちです。しかし実際は、プログラミングスクールの独自教材は、一般書籍や無料Webサイトで得られる情報との差がほとんどありません。
安価で良質な市販の教材は大量に存在しているので、スクールの独自教材そのものに価値はないと考えておきましょう。
むしろ、定番書籍で学ぶ方が、より多くのプログラマの目に触れている常識を学べる点で良質と言えるかもしれません。
スクール教材と市販の教材の「誤差」に大金を払うのはやめよう。
【補足】 言語学習では全てを理解する必要はない!
言語学習では「全て理解してからはじめたい」と思う気持ちを抑え、基礎だけやったら、なるべく早く自分の手を動かしてポートフォリオ作成に着手することが重要。
スクールでは「大金払ったから全てを理解しなきゃ」という思考が強く働き、「まず手を動かす」の第一歩を遅らせてしまうリスクが高くなります。
書籍をざっと勉強して、自分の中でのINDEX(どこに何が書いてあるか?)が把握できたらまず、手を動かす!
【やめとけ理由2】軌道修正が効かなくなる
「作りたい作品」や「なりたい職種」などの目的も定まらない状態で大金を払ってスクールへ通い出してしまうと、いざ、「他の言語が良かった」と後から気づいたときに軌道修正が効かなくなります。
一口でプログラミング言語と言っても職種や作りたいものによって学習対象の言語は異なります。スクール入学後に言語の役割がわかってきたときに誤った選択に気付いても、大金を払ったサンクコストが拭えずに引き返せなくなります。
学習の全てが無になるわけではないが、時間とお金を無駄にしてしまうぞ。
【やめとけ理由3】効率的に学べず、知識が定着しない
仮に、基礎知識が「ある人」と「ない人」が同時にスクールで学び始めた場合、後者は圧倒的に非効率で投資対効果が悪くなります。
その理由としては初心者であるほど、いつ誰でも学べる基本操作や基礎知識の習得に大半の講義時間を費やすことになるため、本来学ぶべきプログラミング学習の本質に向き合う時間が少なくなるからです。
このように初心者は、カリキュラムについていくのに精一杯で、結果として知識が定着しないうちにスクール修了となってしまうのです。
独学はWeb検索スキルだけあればカンタンに始められる。最低限のPCスキルと言語の基礎知識を抑えてからスクールに入るべき。
【やめとけ理由4】悪徳スクールに引っかかりやすい
業界をよく知らない初心者のうちは特に、悪徳スクールに引っかかりやすいので、すぐにスクール飛びついてしまうのは非常にキケンです。
独学で知識をつけつつ情報を集め、時間をかけて慎重にスクール選びをすると良いでしょう。独学を進めていくうちに、自分に必要で足りない知識がわかるようになってきて、情報の取捨選択ができるようになってきます。
悪徳スクールの特徴
- 相場と比べて授業料が高額すぎる
- ネットでの評判が悪い
- 講師の実務経験が浅い(学生バイトなど)
- 言語の選択肢が少ない
- 教材が古くメンテされていない
- アウトプットの機会が少ない
- 「カンタンに稼げる」などの煽りが多い
独学を進める中で言語や業界の知識がついてくるので、自然と悪徳スクールか否かがわかるようになってくるぞ。
【やめとけ理由5】未経験者が就職サポートを受けてもろくな就職先がない
未経験者がスクールで一通り学習しただけでは、就職サポートを受けたとしても、ブラックなSES企業くらいしか紹介してもらえません。
なぜなら、エンジニア就職における重要度の比率はざっくりと「基礎学習」と「ポートフォリオ作成」で2:8くらいであり、「基礎学習」を終えた程度では良い企業への面接に送り出せるレベルに達しないからです。
しかし、基礎知識を身に着けてからスクールに通い、受講期間中にポートフォリオを自力作成できるレベルに達するのであれば、スクールの就職サポートも有効になり得ます。
「それでも就職できれば良い」と考える人が多いのですが、未経験者を歓迎する企業では誰もやりたがらない単純作業が多く、自身の成長が見込めずに今後のフリーランス人生が詰んでしまいます。
スクール卒だけではただの「基礎知識がある人」。自力でポートフォリオ作成ができて初めて「実践で使える」と企業から振り向いてもらえるぞ。
「いきなりプログラミングスクール」あり派(反論)への反論
初心者にいきなりプログラミングスクールを勧める人は、次のような点をメリットとして挙げることが多い。一理はあるものの、偏った見解で誤解を生じると私は思います。その理由(反論への反論)を本章では解説します。
- 【反論1】「講師にいつでも質問ができる」の誤解
- 【反論2】「習得スピードが早くなる」の誤解
- 【反論3】「挫折しづらい」の誤解
【反論1】「講師にいつでも質問ができる」の誤解
「スクールなら講師に質問し放題でしょ?」のいきなりスクール推しの意見に対しては、次の理由により私は懐疑的です。
「いつでも質問できる」の反論に対する反論
- 自力解決のアプローチこそがプログラミング学習の本質
プログラミング学習では、ググったり、Quitaなどのコミュニティを活用したりして「自力解決すること」が何よりも大切。実務ではスクール講師は助けてくれない。初心者は特にこの「自力で調べる力」を重要視したい。 - 質問するケースはかなり少ない
「自力で調べても解決できないほど難解なケース」は初心者の学習レベルではほぼない。単純知識を問う場合は自力でググるべきだし、それでもわからない場合は別の手段を見つけることもまた勉強…。 - 講師の多くはスペシャリストではない
一般的にサポート講師は経験が浅い場合が多い。上記の「難解なケース」でどれだけ頼りになるのか疑わしい。 - 「いつでも質問可」だが「すぐに回答がくる」わけではない
一般的なスクールは講師一人に対し複数の生徒が付くので、チャットなどで質問を投げるのは「いつでも可」かもしれないが、回答には待ち行列ができる。自力で調べた方が早い。 - そもそも質問という行為自体が難易度が高い
質問内容が複雑であればあるほど、質問のし方に対する難易度も高くなる。「質問内容をまとめる中で問題も自己整理される」ことが多いが、それは自力で調べる場合も同様と言える。
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【反論2】「習得スピードが早くなる」の誤解
「スクールなら独学より習得スピードが早い」のいきなりスクール推しの意見もたまに聞くのですが、私は理解できません。
スクールでは複数人の生徒を同時で教えるので、進むスピードも皆に合わせて一律です。一方、独学では自分が理解できるところはサクサク進めて、難しいところに対して重点的に時間をかけられます。
以上のことから、独学の方が圧倒的に時間効率が良いのです。
【反論3】「挫折しづらい」の誤解
「スクールでは大金も払っているし、集団学習だから挫折しづらいでしょ?」の意見に対しても、私は懐疑的です。
そもそも大前提として、スクールであっても自力でやりきる意欲が無かったら学習完了できません。たとえば、業界大手のプログラミングスクールでも約25%は挫折していると言われています。
このことから、結局は独学でもスクールでも他力本願ではない「やる気」と「意欲」は必須であり、「大金を払っているから」や「集団だから」のモチベーション維持の根拠は空想です。
更に言うと、プログラミング学習はひたすらPCと向き合う孤独な作業なので、集団学習のメリットは出しづらい分野です。
最近は新型コロナの影響でどのスクールもオンラインが主流。その点でも集団学習のメリットはないぞ。
プログラミングスクールに入るタイミングは独学後がベスト!
スクールに通い始めるベストタイミングは、独学でざっと一通りの入門レベルのプログラミング学習を完了した後です。独学の時間目安としては200時間〜300時間くらいと考えておきましょう。
スクールに入るタイミングは独学後がベストな理由は、基礎に躓くことなく効率的に濃い学習が進められるからです。
「もう一度、基礎から?」「遠回りでは?」と思うかもしれませんが、プログラミングスクールでの学び直しには次のような利点があります。
独学後のプログラミングスクールのメリット
- 基礎学習の復習ができる
- 弱点の発見と補填ができる
- ポートフォリオ作成のヒントになる
一通りの独学後なら前章の「『いきなりプログラミングスクール』をおすすめできない5つの理由」で解説した懸念を解消できます。
独学中にゆっくりと情報精査ができるので、悪徳スクールに入ってしまうことや軌道修正で悩むこともないでしょう。また、初心者でもやればできることにスクールでの有償な時間を浪費せず、効果的にスキルアップできるため、就職への道も大きく広がります。
自力でポートフォリオ作成できる人材であれば独学だけで十分ですが、多くの人はポートフォリオ作成をやりきるのことは難しいです。
よくプログラミング学習では、「まず手を動かせ」「作りたいものを作れ」と言われますが、初心者の多くは「まず何を作るか?」がわからず困っています。
スクールではまさに「何を作るか」の例題を教材として提供してくれるので、今後のポートフォリオ作成のヒント(良い事例)になります。そして、自分の実装と多くの事例との比較ができるため、自分のスキルの問題点を発見できます。
このように、今までの基礎学習と実践を点と点でつなげることで、実務に使えるスキルとして定着できるのです。
独学後にスクールで実戦形式で更に理解を深め、自身のオリジナルポートなフォリオ作成に取り組もう!
【補足】スクール課題を自分のポートフォリオに入れるな!
業界では有名な話だが、スクール課題を自分のポートフォリオに入れ、企業面接に行くことはキケンです。
その理由は、企業の面接官にしっかりバレるからです。仮に採用に至る人材でも、面接官から品格を疑われて不採用になる可能性があります。
私を含め、何人も採用面接をしている面接官は「スクール上がりのにわか技術者」にうんざりしているのです。
ポートフォリオの作り方については次の記事を参考にしてください。
エンジニア採用でポートフォリオって必要? ポートフォリオは何をどう作ったら良い!? ポートフォリオは最低限、どのレベルまで求められる? エンジニアが転職やフリーランス案件の面接で採用を獲得するには、ポートフォリオ作[…]
まとめ
以上、「いきなりプログラミングスクールを活用することが良くない理由」と「スクールを活用するベストタイミング」について解説してきました。
【結論】
プログラミングスクール自体は有益!しかし、まだ目的も定まらない初心者がいきなり学習の一手目としてスクールへ通うことは非効率。
いきなりプログラミングスクールを活用することが良くない理由は次…。
- 【やめとけ理由1】教材の質は独学と変わらない
- 【やめとけ理由2】軌道修正が効かなくなる
- 【やめとけ理由3】効率的に学べず、知識が定着しない
- 【やめとけ理由4】悪徳スクールに引っかかりやすい
- 【やめとけ理由5】未経験者が就職サポートを受けてもろくな就職先がない
プログラミングスクールに入るタイミングとしては、一通りの独学後(基礎学習の終了後)がベストです。その理由は次…。
- 基礎学習の復習ができる
- 弱点の発見と補填ができる
- ポートフォリオ作成のヒントになる
以上、このブログでは、このように「会社員エンジニアがフリーランス独立して自力でお金を稼げるようになるまで」の役立つ情報を発信し続けていきます。
ではまた!