- スキルシートに何をどう書いたら良いかわからない!
- 採用者はスキルシートのどのポイントを見ているの?
- 選考で落ちないスキルシートの書き方を教えて!
あなたのフリーランスエンジニアとしてのスキルが企業が求めるレベルに達していたとしても、スキルシートの表現が伝わりづらいと「コミュニケーションコストのかかる人」と判断されて、採用されません。
現在の私は、社員数の倍の委託・派遣を抱える大手会社に属しているエンジニア管理職です。今まで1000件以上ものスキルシートを見て採用可否を判断してきた経験から「スキルシートも書けない人≒仕事ができない人」と感じています。
そこでこの記事では、スキルシートの意義、書き方、ポイントについて採用者目線で解説をします。
この記事を読んで事前準備をすれば、「スキルは足りているはずなのに書類審査が通らない」ことは無くなるでしょう。
スキルシートとは?
スキルシートとは、エンジニアの経験・スキルを伝える目的で作るA4サイズ2枚程でまとめた、あなた自身を売り込むための営業資料です。
エンジニアにとってスキルシートは、採用の90%を決めるほどに超重要なものです。
なぜなら採用側にとって、「どこで働いたか?」よりも「どのスキルをどの程度、どういう環境で経験したか?」が重要であり、それは、簡素な職歴紹介だけでは判断できないからです。
厳密に言うと、職務経歴書とスキルシートは別のものですが、本記事では職務経歴書を含めてスキルシートとしてまとめて説明します。
採用側から見たスキルシートの意義
採用側から見たスキルシートは、次のような点で採用可否を判断するツールです。
- 求めるスキルと保有スキルが一致するか?(スキル)
- プロジェクトに貢献してくれそうな経験があるか?(経験)
- 他者連携に問題はないか?(協調性・コミュニケーション力)
- 端的に表現できる力量はあるか?(文章力・表現力)
採用側は複数の候補者のスキルシートに目を通すため、全ての記述をじっくり読み込むことはほぼありません。そのため、端的にわかりやすくないと必要な情報を見落としてしまいます。
一つスキルシートを使い回すのではなく、採用者の目線で企業ごとに内容を最適化して「刺さるスキルシート」を提出しましょう。
スキルシートを見て、採用側が「会って話してみたい」となったら面接へ進みます。エンジニア面接についての詳細は次の記事が参考になります。
採用者の目線でのエンジニア面接の攻略法が知りたい! 面談での話が噛み合わず、なかなかフリーランス案件に採用されない 条件交渉ができずに、いつも企業の「いいなり」になってしまう… ハイスキルなフリーランスエンジニアで[…]
スキルシートと職務経歴書との違い
職務経歴書(履歴書)は、氏名・生年月日・住所・学歴・職歴・保有資格 ...etc 「あなたは何者なのか?」を説明する資料です。
エンジニアの場合は、スキルシートを書くことがほぼ必須のため、スキルシートに一本化される場合が多いです。
職務経歴書の「職歴」に記す内容は「平成10年○○会社に入社」「△△事業に従事」のような概要のみです。
営業・経理・人事 ...etc であれば、どの会社のどの部署に属したかで説明十分であり、職歴に少し経験を追加するだけで足りる場合が多いでしょうが、エンジニアはむしろ「その職場で何をどうしたか?」の詳細が重要であるためスキルシートが必要なのです。
職務経歴書は人事担当が見て、スキルシートは技術担当が見ると考えるとわかりやすいぞ。
スキルシートは一生モノの営業資料
スキルシートは、フリーランスエンジニアであり続ける限り、今後もアップデートし続けていくべき一生モノの営業資料です。
アップデートが必要な理由は、常にあなたのスキルは経験とともに拡大していくし、「こう書いた方が良いな」とわかってくることが多いためです。
常に仕事経験や学習経験をスキルシートへフィードバックして最強の武器を持った状態にしておきましょう!
スキルシートの基本と書き方
スキルシートの目的は、あなたの経験を採用者に伝えることであるため、とにかく「見やすさ」が重要です。
エンジニアのスキルシートには決められたフォーマットは存在しませんが、慣例的に「こう書けば良い」という項目や作法は存在します。
書き方で個性を強調しようと独自性を出してしまうと見づらくなってしまうので、本記事のような例のとおり記載することをおすすめします。
次のスキルシートを書く上での基本は常識として覚えておきましょう。
スキルシートの基本
- A4サイズで2枚ほど、経験が多い人でも3,4枚
- 知名度のある企業名(エンドユーザー名)は可能な限り記載
- プロジェクト名など守秘義務に関わる内容は伏せて記載
- 一般的ではない略語や社内用語は使用しない
- 西暦を使う
- 最近の業務から順に記載する
更にスキルシートを見やすくする書き方のコツについて解説します。
スキルシートの書き方のコツ
- 【コツ1】スキルシート前半(自己PR)で印象づける
- 【コツ2】スキルシート後半(職歴説明)は具体的に
- 【コツ3】デザイン・レイアウトを整える
- 【コツ4】事実と解釈を分けて書く
- 【コツ5】応募先に最適化したチューニングをする
- 【コツ6】提出前には必ず見直す
【コツ1】スキルシート前半(自己PR)で印象づける
スキルシート前半では、自己PR・保有技術・得意分野の項目で「どういう人で何ができるのか」の印象づけを行います。
採用者はまずこの前半部を見て、求めるスキルとの一致をざっくりと把握するため、企業ごとに最適化した「刺さる内容」を記載しましょう。
たとえば次のように、求人内容に応じてアピールポイントを使い分けます。
・「抽象度が高い要求を具現化することが求められる案件」 ⇒ 提案力やコミュニケーション力を優先的にアピール
・「技術課題を解決していくことが求められる案件」 ⇒ その分野での技術経験を優先的にアピール
項目 |
記載内容 |
基本情報 | 氏名・年齢・性別・最寄駅 ...etc。 |
学歴 | 重視されない職場は意外と多い。 |
保有技術 | 【言語】【ツール】別に習熟度がわかるかたちで記載。 |
得意分野 | 経験が豊富な人は、その中でも特に得意としている内容を厳選して記載。 経験が浅い人は、より力を入れているポイントを具体的に記載。 |
自己PR | 最重要なポイント。特に明確な記載ルールはないが、実例を交えながら端的にアピールポイントを記載。 技術だけではなく、コミュニケーション力やあなたの関心がわかるような記載もあると良い。 |
外部リンク | 【ポートフォリオ】【ブログ】【SNS】がアピールになる職場では全面に出す。個人利用のブログやSNSであれば出さないほうが無難。 |
ポートフォリオの作り方については、次の記事を参考にしてください。
エンジニア採用でポートフォリオって必要? ポートフォリオは何をどう作ったら良い!? ポートフォリオは最低限、どのレベルまで求められる? エンジニアが転職やフリーランス案件の面接で採用を獲得するには、ポートフォリオ作[…]
「保有技術」の欄には経験のあるプログラミング言語は動的型付け言語、静的型付け言語、JVM系言語、etc. ジャンルに分けて整理しておきたい。スキル不足分は次の記事を参考に学習しておくと良いでしょう。
プログラミング言語の種類が多すぎて選べない! 初心者が学びやすい言語は? フリーランスエンジニアが安定して稼げる言語は? 生涯フリーランスエンジニアを目指すあなたにとってプログラミング言語選びは重要。言語の流行り廃りのサイクル[…]
【コツ2】スキルシート後半(業務説明)は具体的に
職務経歴書(履歴書)の職歴に書くような「○○設計・開発」だけでは、技術担当が知りたい情報に辿り着けないため、スキルシート後半(業務説明)にて、実際に経験した業務内容を具体的かつ網羅的に記載する必要があります。
この業務説明では、事実として業務経験を列挙するだけなので、企業によってチューニングせずに使い回しでも問題ありません。
項目 |
記載内容 |
期間 | 開発に関わった期間を大まかに記載。最近のものから記載されている方が見やすい。 |
業務内容 | 【案件名】【業種】【技術カテゴリ】を分けて記載。 【コメント】にて、この業務を通じてアピールできることを端的に記載。 |
担当業務 | 担当した工程を全て記載。 |
環境・言語等 | 開発で使用した環境(ツール)や言語を全て記載。 |
役割・規模 | その開発におけるあなたの役割と、開発に関わった人数の規模感を記載。 |
【コツ3】デザイン・レイアウトを整える
記述内容にばかり目が行きがちですが、デザインやレイアウトは「見やすさ」に直結するため重要です。
テンプレートを用いることで、次のデザインの4原則はある程度守られます。
デザインの4原則
- 近接(Proximity)
関連するスキル情報は極力、近づけてグルーピングすることで伝達スピードが格段に上がります。 - 整列(Alignment)
文章や図や絵を揃えて整列することで、各要素に視覚的つながりができ、見る側からの信頼感にも繋がります。具体的には箇条書きを使うと良いでしょう。 - 反復(Repetition)
スキルシート全体を通して書き方や視覚的要素を反復します。一貫性をもたせることで意図は伝わりやすくなります。 - コントラスト(Contrast)
強調したいスキルや経験は、太字や赤文字を使ってメリハリをつけましょう。
エンジニアに必要なデザイン力については、次の記事をご参考ください。
アイキャッチなデザインをするのに必要な知識は、美的な知識やセンスを問われることが少ない一般的なビジネスマンにとっても必須スキルです。 ここでは、デザイナーでない人がデザインを学ぶ本、「ノンデザイナーズ・デザインブック」を参[…]
【コツ4】事実と解釈を分けて書く
スキルシートは、基本的に事実ベースで淡々と書きましょう。
仮に「解釈(熱い思いなど)」を記載する場合は「事実」とは分けて書くべきです。
たとえばPythonエンジニアを求人している場合、「AとBの経験があるので、類似言語のPythonはできます」のようなアピールは、採用者によって解釈が分かれるものなので、控えたほうが良いでしょう。
採用への思いが強い人ほどこういったアピールをしますが、「事実と解釈分けられない人≒仕事ができない人」と捉えられてしまうリスクがあります。
【コツ5】応募先に最適化したチューニングをする
前述しましたが、応募先企業の求人内容に合わせた相手に刺さるスキルシートへチューニングしましょう。
「案件ごとにスキルシートを全て書くのはしんどい」という人も問題ありません。渾身のスキルシートさえ一つ用意しておけば、あとは少しの変更で十分だからです。
たとえば求人内容に感度の高い項目に対し、次のようなチューニングができていると採用側の目に留まる一歩優位なスキルシートになります。
- 職歴からピックアップして自己PRの得意分野などで強調
- 職歴やスキルをハイライト(★マーク・太字・赤文字...etc)
- 深堀りしてもう少し詳細に追記
【コツ6】提出前には必ず見直す
スキルシートは提出前にしっかりと見直すことが最も重要です。
誤字・脱字や間違った日本語表現は、相手に対し「仕事が雑」「表現力(コミュニケーション力)が欠如」の印象を与えてしまうためです。
スキルシート見直しのポイント
- 誤字脱字がないか
- 重複(冗長表現)がないか
- 主語・述語など文章の構造に問題ないか
- もっと短文表現できないか
- 印刷してみて違和感がないか
スキルシートには、技術力やチーム開発の経験を確認するだけでなく、「複雑な事象も端的にまとめる力」「文章力」などのビジネスパーソンとしての基礎力を見る役割もあるため、見直し(推敲)は絶対に手を抜けないポイントです。
「文章力だけで採用」とはならないものの、「文章力が無いと採用を見送る」ケースは多々あります。 「コミュニケーションコストがかかる人」と判断するためです。
また、スキルシートを第三者にチェックしてもらう方法も非常に効果的です。ほとんどのフリーランスエージェントでは、スキルシートの相談が可能ですが、特にサポートに定評があるエージェントを紹介しておきます。
スキルシート記載のアドバイスなどサポート力に定評があるエージェントはこちら
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スキルシートのアピールポイント|ココで盛れ!
大前提として、スキルシートに嘘の情報を記載してはいけません。嘘は面接の薄っぺらい回答でバレますが、仮に採用されても実業務であなた自身が辛い思いをする羽目になります。
しかし、狭い範囲の経験ばかり書いたり謙遜して書かなかったりしたところで、あなたも採用者も誰も得しません。
むしろ、できる範囲を広げるためにも適度な誇張はアピールとしてすべきです。よほど自信がない場合を除き、ある程度はその仕事に関われたら事実としてアピールして良いでしょう
誇張できるアピールポイント(盛れるポイント)は次の3点です。
- 【アピール1】網羅的な記載による経験の広さ
- 【アピール2】比較や実績の表現による経験の深さ
- 【アピール3】プログラミングだけではない+αを持つ
【アピール1】網羅的な記載による経験の広さ
全ての経験を網羅的に書いて、経験の広さをアピールしましょう。
「経験の豊富さ」があることは、一つの業務に特化し続けた人に比べ「求人内容と少しズレているが対応してもらえるだろう」と柔軟性を買ってもらえる可能性があります。
広範囲に経験を書くことで、企業が求めるポイントにハマる可能性が高まります。
ただし内容が、細かすぎたり薄かったりすると読み手には情報のノイズ(情報過多)になるため、適度なボリュームで端的に記載することが重要です。
開発経験の他にもアピールになる例
- 他者教育
- マネジメント・リーダーの経験
- レビュワーとしての経験
- 顧客との折衝
- プライベートで勉強した技術
- 学会・ワーキンググループなどでのプレゼン経験
- ポートフォリオ(GitHub公開など)
- SNS・ブログ運営の実績
言語やサービス開発の経験だけではなく、上記の経験から「人となり」を感じて採用判断することも多いです。
【アピール2】比較や実績の表現による経験の深さ
スキルと一口に言っても習得レベルには差があるため、経験の深さ(レベル)を具体的な実績や他者との比較でレベルを表現しましょう。
実績を数値や比較で表現する例
- 自身のレベルをランク表現する
A,B,Cなど自分比で良いので基準を設けて表現してみる。 - 資格などの客観的な評価でアピール
〇〇資格取得、TOEIC800点 ...etc 客観的な評価がわかるもの。資格の数自体には価値はないので注意。 - 実績を数値でアピール
「コンバーション率を3倍に」「開発工数を30%改善」...etc 数値表現に拘わる。その際、「○○をしたからXXした」という表現が理想。
【アピール3】プログラミングだけではない+αを持つ
特に初心者は。プログラミングスキルに注力しがちですが、プログラミング(実装工程)しかできないエンジニアの評価は高くありません。「代え」がいくらでもいるため、安く買い叩かれてしまうのです。
プログラミングスキルだけではない+α(プラスアルファ)の要素をしっかりとアピールしましょう。「いかに自分が万能型であるか」がわかるような経験や知見を謙遜せず伝えるべきです。
開発経験があれば、実装だけで上流の仕様へのフィードバックをした経験はあるはずです。ただし、あまり浅い経験だと後の面接で苦労するので、具体的なエピソードを1,2個は用意しておきましょう。
プログラミング以外の経験・知見のアピールポイント
- トレンド技術の習得
クラウド・AI・機械学習・ブロックチェーン・画像認識 ...etc。 - 上流工程の経験
提案力・コニュニケーション力・リーディング力 ...etc - 開発環境・ツールの使用
Webフレームワーク・Git・コミュニケーションツール・GNU系ツール・Linuxコマンド ...etc
まとめ
フリーランスエンジニアが案件応募に提出するスキルシートの意義、書き方、ポイントについて採用者目線で解説をしてきました。
スキルシートを書く上での基本となることは…
- A4サイズで2枚ほど、経験が多い人でも3,4枚
- 企業名やプロジェクト名など守秘義務に関わる内容は伏せて記載
- 一般的ではない略語や社内用語は使用しない
- 西暦を使う
- 最近の業務から順に記載する
スキルシートを書くコツは…
- 【コツ1】スキルシート前半(自己PR)で印象づける
- 【コツ2】スキルシート後半(職歴説明)は具体的に
- 【コツ3】デザイン・レイアウトを整える
- 【コツ4】事実と解釈を分けて書く
- 【コツ5】応募先に最適化したチューニングをする
- 【コツ6】提出前には必ず見直す
誇張できるアピールポイント(盛れるポイント)は…
- 【アピール1】網羅的な記載による経験の広さ
- 【アピール2】比較や実績の表現による経験の深さ
- 【アピール3】プログラミングだけではない+αを持つ
今回紹介した内容でスキルシートを記載すれば、応募に対して面接に進める確率はグッと上がります。
企業が求めるスキルレベルのエンジニアが希望の単価で応募があることなどめったにありません。逆に考えると、あなたのスキルが求人スキルに足りなくても、アピールの余地が存分にあるということです。
以上、このブログでは、このように「会社員エンジニアがフリーランス独立して自力でお金を稼げるようになるまで」の役立つ情報を発信し続けていきます。
ではまた!