- フリーランスエンジニアの単価相場ってどれくらい?
- 職種や年齢によって単価相場は変わる?
- 稼げるプログラミング言語は?
フリーランスエンジニアの単価相場も知らずに闇雲に案件探ししていませんか?
それでは、自分の市場価値もわからずに、企業に安く買い叩かれてしまいます。
私は本業のエンジニア業に加え、副業でブログ・Web開発・不動産など複収入を確立している個人事業主です。エンジニア歴21年の経験値から、フリーランスエンジニア業界を徹底分析しています。
この記事では、フリーランスエンジニアの単価相場と単価の上げ方について解説します。
この記事を読めば、あなたが目指すエンジニアの単価相場がわかり自分の目指すべきエンジニアの方向性が見えるようになります。
フリーランスエンジニアの単価相場を3視点で分析
本章では、次の3つの視点でフーランスエンジニアの単価相場を網羅的に分析します。
- 【単価相場1】プログラム言語別
- 【単価相場2】年代別
- 【単価相場3】職種別
年収表現のデータもありますが、多くのエンジニアの年収差は単価差で決まるので「年収差=単価差」として見てください。
フリーランスエンジニアの月単価の全体平均
厚生労働省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年)」によると、会社員のシステムエンジニアの平均年収は、568.5万円である一方で、フリーランスエンジニアの平均年収は600〜800万円あたりです。
月単価に換算すると50万円〜70万円になり、会社員の一般的な月収は約20万円代が多いので、これだけ見ると「単価高いな…」と感じると思います。
しかし実際は、フリーランスエンジニアの月収の単価相場を一概に「コレ!」と決めつけることに意味はありません。
単価相場は保有するカテゴリ・スキルレベルだけでなく、採用側の単価設定のスタンスによって決まるため、個人単位で見たときにバラツキが大きすぎて参考にならないからです。
フリーランスの方が会社員より年収が高い理由
- ITエンジニアは慢性的に人手不足であり需要がある
- 構造上、会社員エンジニアは会社に搾取されやすい
会社員エンジニアとフリーランスエンジニアとの比較は次の記事を参考にしてください。
フリーランスエンジニアとして自立できるか不安だな… フリーランスと会社員は何が違う?メリット・デメリットを教えて! 未経験でもフリーランスエンジニアになれるかな…? 「フリーランスは自由で高単価でパラダイス!」と安[…]
【補足】「フリーランスは会社員より年収が高い」の落とし穴
先述のようにフリーランスエンジニアは、会社員エンジニアに比べ平均年収が高いのですが、1.32倍ほど多めに稼ぐ必要があります。
フリーランスは、社会保険料や退職金が自己負担になるからです。その内訳の詳細は次の記事が参考になります。
「フリーランスは会社員の年収2倍が必要」と聞くけど本当? フリーランスエンジニアになったら最低いくら稼ぐべき? 会社員の頃よりも年収を上げる方法は? フリーランスを目指すエンジニアの中には「会社員の年収2倍が必要」[…]
【単価相場1】プログラム言語別
プログラム言語別の単価相場を以下の2つのデータと私の体感を交えて、傾向を次にまとめます。
プログラム言語別エンジニア単価の傾向まとめ
- トレンドの言語は、求人は少ないが単価が高い
Go言語、Kotlin、Scala、Swift、etc. - レガシーな言語は、求人が根強いが単価を上げづらい
C言語系、Java、Perl、etc. - 近代のメジャー言語は、求人も単価も安定
Python、PHP、Ruby、etc.
まず、レバテックフリーランスが算出している単価相場(2021/04/16時点)で比較してみました。
平均単価と求人数を見ると、必ずしも需要があるから単価が高いわけではないことがわかります。
言語 |
平均単価 |
最高単価 |
求人数 |
Kotlin |
82 |
125 |
553 |
Scala |
82 |
165 |
284 |
Go言語 |
81 |
145 |
692 |
Ruby |
80 |
145 |
1586 |
Swift |
79 |
125 |
929 |
R言語 |
79 |
95 |
46 |
Python |
77 |
145 |
1474 |
Perl |
73 |
110 |
280 |
JavaScript |
72 |
145 |
4119 |
PHP |
72 |
145 |
3824 |
C++ |
71 |
125 |
553 |
Java |
69 |
165 |
5791 |
C# |
68 |
115 |
1608 |
C言語 |
67 |
115 |
95 |
SQL |
65 |
145 |
1828 |
VB.NET |
61 |
95 |
600 |
COBOL |
61 |
95 |
160 |
次に、ビズリーチが算出している年収ランキング(2018年のデータ)で考察してみました。
Go言語の年収が高く、前年比で1.9倍の求人数ということで、その注目度も伺えます。他ScalaやKotlinなどのトレンド系の言語も年収も高く、学習する価値はありそうです。
一方で、C言語やRubyの求人数は根強いため、安心して学べる言語と言えます。
言語 |
年収中央値 |
最大提示年収 |
求人数 |
Go言語 |
600 |
1,600 |
2,202 |
Scala |
600 |
1,300 |
1,489 |
Python |
575.1 |
1,499 |
9,344 |
Kotlin |
575 |
1,200 |
961 |
TypeScript |
575 |
1,200 |
667 |
R言語 |
574.8 |
1,000 |
220 |
Ruby |
550 |
1,200 |
11,676 |
Swift |
550 |
1,200 |
3,353 |
Perl |
525 |
1,200 |
4,509 |
C言語 |
525 |
1,000 |
9,347 |
【単価相場2】年代別
» 参考| IT人材白書2016 - フリーランスの年収と企業IT技術者の年収より
上のグラフから年代別の単価相場の傾向を次にまとめます。
年代別エンジニア単価の傾向まとめ
- 年代による単価相場の差はほぼ無い
- 年齢が高くなるほどスキルのわりに稼ぎづらくなっている
フリーランスには年功序列や役職が無いので、年齢による収入差もありません。若手やベテランに関係なくスキルのみで稼ぐことになります。
しかし一般的に、年齢が高い方がスキルが高いことを鑑みると、年功序列で給料が上がる会社員(図の下のグラフ)と比べ、「年齢が高くなるほどスキルのわりに稼ぎづらくなっている」とも言えます。
一般的に30代までは、経験年数やスキルに連動して単価は上がっていきます。
しかし、「自分は若くないからフリーランスは無理か…」と諦めることはありません。40代・50代でもフリーランス独立は可能です。詳細は次の記事を参考にしてください。
40代・50代からでもフリーランスエンジニアで独立できる? フリーランスでエンジニアを継続するには年齢の限界はある? 40代・50代のフリーランスエンジニアはどうやって案件獲得している? 40代・50代の会社員エン[…]
【単価相場3】職種別
次にDODA「平均年収ランキング 最新版」 2018年の技術系の職種別の年収ランキングを分析します。
職種別エンジニア単価の傾向まとめ
- 上流工程ほど単価が高い
- マネジメント力、リーダーシップを求められる役割ほど単価が高い
上流工程の単価が高い理由は、上流の工程ほどエンジニアとしての知識・経験や、コミュニケーション能力が必要であり、価値が高いと見られるからです。
また、マネジメント力やリーダーシップが問われるような職種も同様に価値が高いと見られます。
これはエンジニアに限ったことではありません。仕事に対する抽象度が上がるほど難易度も高く評価も高いのは世の常でしょう。
職種 |
平均年収 |
工程や必要スキル |
PM/PL力 |
プロジェクトマネージャー |
664 |
全工程 |
必要 |
プリセールス |
658 |
市場・要求分析 |
必要 |
ITコンサルタント |
584 |
要求分析 |
必ずしも必要ではない |
IT戦略/システム企画 |
575 |
市場・要求分析 |
必要 |
研究開発 |
544 |
専門性 |
必ずしも必要ではない |
データサイエンティスト |
516 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
システム開発/運用 |
473 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
サーバーエンジニア |
463 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
ネットワークエンジニア |
455 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
パッケージ導入/システム導入 |
452 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
スマホアプリ/ネイティブアプリ系エンジニア |
443 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
制御系ソフトウェア開発 |
427 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
Webサービスエンジニア |
419 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
SE/プログラマ |
417 |
一般的な開発スキル |
必ずしも必要ではない |
テクニカルサポート |
409 |
保守 |
必ずしも必要ではない |
運用/監視/保守 |
381 |
保守 |
必ずしも必要ではない |
デバッグ/テスター |
379 |
保守 |
必ずしも必要ではない |
ヘルプデスク |
349 |
保守 |
必ずしも必要ではない |
フリーランスエンジニアが単価を上げる6つの方法|目指せ月収100万円!
フリーランスエンジニアが自身の受注単価を上げる方法は6つあります。
中長期的に成長戦略として取り組むべき方法もあれば、今すぐにでも取り組める方法もあるので、できることはすべて行うことをおすすめします。
- 【方法1】流行言語をターゲットに習得する
- 【方法2】PM/PLや上流工程の仕事を経験する
- 【方法3】フルスタックエンジニアを目指す
- 【方法4】面接対策を行う
- 【方法5】スキルシートを作り込む
- 【方法6】単価交渉を行う
【方法1】流行言語をターゲットに習得する
「【単価相場1】プログラム言語別」で紹介した単価が高いプログラム言語を狙い、言語習得していくと単価UPへ繋がります。
フリーランスエンジニアは、トレンドのプログラム言語を使って開発できることが重宝されます。
なぜなら、採用する企業側には新技術を取り込む余裕が無いことが多いからです。社内で昔から使っているレガシー技術を使い続ける方が安心・安全ということで、会社員ではなかなかトレンド導入に踏み切れないでいるのです。
そういった企業が、レガシー技術からトレンド技術へ以降をしたいと思ったときに必要なのが、トレンドな言語を習得しているフリーランスエンジニアです。
ただし、トレンド技術は必ずしも需要が大きいわけではない点と、廃れてしまうリスクがある点は認識しておきましょう。
【方法2】PM/PLや上流工程の仕事を経験する
「【単価相場3】職種別」で紹介したとおり、マネジメント力、リーダーシップ、上流工程の経験があると単価は高くなります。
現実的にプログラミング言語のスキルだけで月収100万円は難しいでしょう。抽象度の高い上流工程の仕事を多くの人を引っ張りながら進められる「プラスαの価値」が必要なのです。
PM/PLスキルや上流工程の開発力は、現場経験からでしか認められづらい。 与えられた仕事の一歩上の目線での仕事を積み重ねた先に得られるものだぞ。
【方法3】フルスタックエンジニアを目指す
フルスタックエンジニアとは「万能なスーパーエンジニア」のこと。プログラミング技術だけでなく、全ての工程を手掛けることができます。
カテゴリに特化したエンジニアではなく、このフルスタックエンジニアに近いほど単価UPへ繋がります。
たとえば、「自分はPHPのフロントエンジニアだ」と役割を限定せずに、「フロントエンドを主戦場としつつもバックエンド的な作業もし、インフラ系の対応もできる」のようなことです。
フルスタックエンジニアに求められる技術の例
- システム開発の知識・経験
一連の開発工程の経験、プログラミング言語、開発対象のデバイスの知識、etc. - ミドルウェアの知識
OS、データベース、ネットワーク、セキュリティ、etc. - インフラ技術
クラウド、仮想技術、etc.
「『スーパーエンジニアが良い』なんて当たり前でしょ!」と思うかもしれませんが、現実的に、特定のプログラミング言語だけでずっと食べていくことは難しいでしょう。
ひとつのスキルに固執せずにいろんなスキルにチャレンジしていこう!
【方法4】面接対策を行う
単価を上げる手っ取り早い方法のひとつが面接対策を行うことです。
スキルを極めるには長い年月が必要ですが、面接対策は短期間で対応可能です。逆にスキルがあっても面接対策ができなくて自分の価値以下の単価で受注をしているエンジニアは多数います。
エンジニア面接でよく聞かれる質問
- 【質問集1】抽象的な要件からの開発経験はあるか?
- 【質問集2】技術課題での苦労とその解決事例は?
- 【質問集3】チーム開発の経験は?
- 【質問集4】理想とする仕事の進め方は?
エンジニア面接での注意点
- 【注意1】自身のスキル説明は端的に
- 【注意2】質問されたことに端的に答える
- 【注意3】ビジネスマナーを軽んじない
- 【注意4】前向きな姿勢をアピールする
- 【注意5】条件・職場が合わないと思ったら撤退も
具体的な面接対策は、次の記事を参考にしてください。
採用者の目線でのエンジニア面接の攻略法が知りたい! 面談での話が噛み合わず、なかなかフリーランス案件に採用されない 条件交渉ができずに、いつも企業の「いいなり」になってしまう… ハイスキルなフリーランスエンジニアで[…]
【方法5】スキルシートを作り込む
単価を上げる上で、スキルシートを作り込むことはめちゃくちゃ重要です。
なぜならスキルシートは、あなたのエンジニア価値そのもので「一生モノの営業資料」だからです。スキルシートの書き方ひとつで、数ランク上の単価を獲得することも可能ですし、その逆もありうるでしょう。
次のスキルシートを書く上での基本は常識として覚えておきましょう。
スキルシートの基本
- A4サイズで2枚ほど、経験が多い人でも3,4枚
- 知名度のある企業名(エンドユーザー名)は可能な限り記載
- プロジェクト名など守秘義務に関わる内容は伏せて記載
- 一般的ではない略語や社内用語は使用しない
- 西暦を使う
- 最近の業務から順に記載する
スキルシートの書き方のコツ
- 【コツ1】スキルシート前半(自己PR)で印象づける
- 【コツ2】スキルシート後半(職歴説明)は具体的に
- 【コツ3】デザイン・レイアウトを整える
- 【コツ4】事実と解釈を分けて書く
- 【コツ5】応募先に最適化したチューニングをする
- 【コツ6】提出前には必ず見直す
誇張できるアピールポイント(盛れるポイント)
- 【アピール1】網羅的な記載による経験の広さ
- 【アピール2】比較や実績の表現による経験の深さ
- 【アピール3】プログラミングだけではない
具体的なスキルシートの書き方は、次の記事を参考にしてください。
スキルシートに何をどう書いたら良いかわからない! 採用者はスキルシートのどのポイントを見ているの? 選考で落ちないスキルシートの書き方を教えて! あなたのフリーランスエンジニアとしてのスキルが企業が求めるレベルに達[…]
【方法6】単価交渉を行う
敬遠しがちですが、遠慮せずに単価交渉を行いましょう。
まず、「自分という商品を扱うビジネスパーソンである」という認識を持つ必要があります。そのため、価格交渉は普通のこととして積極的に行うべきでしょう。
「クライアントに嫌われるかな…」と心配する必要はありません。クライアント側もビジネスとして行っているので、多くの場合はこの心配は杞憂に終わります。
交渉が失敗しても、単価がキープされるだけで失うものはありません。
むしろ、交渉することで「プロ意識がある」と一目を置かれることさえあるので、ダメ元で交渉した方が良いぞ。
フリーランスエンジニア案件の獲得方法
自身の単価を上げる以前に案件を継続的に獲得できていないと始まりません。
フリーランスエンジニア初心者は特に、高単価を狙うよりもまずは仕事の内容に着目して、安定的に仕事を請けられる状態になることをおすすめします。
案件の獲得方法
- 【獲得方法1】人脈から探す(再現度:低)
- 【獲得方法2】オウンドメディアから依頼を受ける(再現度:低)
- 【獲得方法3】クラウドソーシングから探す(再現度:高)
- 【獲得方法4】エージェントから探す(再現度:高)
- 【獲得方法5】クライアントへ直営業する(再現度:中)
案件の獲得方法について詳細は、次の記事を参考にしてください。
フリーランスエンジニアが案件獲得をする方法は? 収入ゼロの期間は絶対に無くしたい! 自分には案件紹介してくれるような知人は居ないしな… フリーランスエンジニアにとって案件探しの失敗は死活問題。だからこそ全ての案件獲[…]
「でも、バリバリ案件獲得するには相当なスキルが必要なんでしょ…」と心配する必要はありません。実は、スキルはそこまで高くなくてもOKなのです。
スキルが低ければ単価が低くて難易度の低い仕事を得ながら後から徐々にスキルを上げていけば良いからです。
フリーランスエンジニアに最低限必要なスキルは何?どれくらい? スキルが高くないが、フリーランス独立は無謀? どのようにスキルアップをすれば良いでしょうか? 「フリーランスエンジニアができるのは、ごく一部の特殊能力の[…]
まとめ
以上、フリーランスエンジニアの単価相場と単価を上げる方法について解説してきました。
プログラム言語別エンジニア単価の傾向まとめ
- トレンドの言語は、求人は少ないが単価が高い
Go言語、Kotlin、Scala、Swift、etc. - レガシーな言語は、求人が根強いが単価を上げづらい
C言語系、Java、Perl、etc. - 近代のメジャー言語は、求人も単価も安定
Python、PHP、Ruby、etc.
年代別エンジニア単価の傾向まとめ
- 年代による単価相場の差はほぼ無い
- 年齢が高くなるほどスキルのわりに稼ぎづらくなっている
職種別エンジニア単価の傾向まとめ
- 上流工程ほど単価が高い
- マネジメント力、リーダーシップを求められる役割ほど単価が高い
上記の3つの視点で得られた分析の傾向を踏まえ、次の方法で単価を上げていきます。
- 【方法1】流行言語をターゲットに習得する
- 【方法2】PM/PLや上流工程の仕事を経験する
- 【方法3】フルスタックエンジニアを目指す
- 【方法4】面接対策を行う
- 【方法5】スキルシートを作り込む
- 【方法6】単価交渉を行う
以上、このブログでは、このように「会社員エンジニアがフリーランス独立して自力でお金を稼げるようになるまで」の役立つ情報を発信し続けていきます。
ではまた!