- 上司からの大量の仕事とプレッシャーで毎日がつらい!
- これってもしや...、パワハラを受けているのかも?
- 法的措置や退職の極論の前にできるだけ円滑に対処する方法を教えて!
2020年6月1日から施行の『パワハラ防止法』により、世間では認知されつつも、個人ではまだ『自分自身がパワハラを受けていることが認識できずに我慢してしまうケース』が多いのが実情です。
私は部下30人を抱えた課長の立場で5年間、常にこの問題と向き合っています。そして、過去にパワハラを受けた経験もあり、解決策の試行錯誤をしてきました。
そこでこの記事では、「自分は上司からパワハラを受けている?」と悩み始めた人向けにパワハラ上司の特徴と対処方法をまとめて解説します。
この記事を読めば、あなたがパワハラ上司に対して向き合う姿勢や行動が明確になり、その悩みを解消することができます。
パワハラ上司の典型6パターン
» 関連リンク:厚生労働省|ハラスメントの類型と種類
厚生労働省のサイトによると、パワハラ上司の類型は上記6つに分けられます。そしてそれら各類型の被害数は次のようになります。
» 関連リンク:厚生労働省|データで見るハラスメント
パワハラ発生割合としては、『精神的な攻撃』が圧倒的に多くなっています。これは私の体感や周囲で起きている情報としても違和感のない数値です。
次にパワハラのパターンを被害割合のランキング別に事例を含めた解説を記載します。
【順位】パターン | 事例を含めた解説 |
【1位】精神的な攻撃 | 周囲にわかるように叱る、罵声を浴びせる...etcは、典型ではありますが、知らずのうちに「なぜこうなる?どうしてだ?」と追い込んでいるケースもあります。 |
【2位】過大な要求 | 残業を前提とした仕事量や、とうてい到達できないノルマを与える場合...etcです。 |
【3位】人間関係からの切り離し | 飲み会や会議に意図的に呼ばない、無視する、仕事を教えない、会社の連絡事項を教えない...etcです。 |
【4位】個の侵害 | 業務時間外の個人への電話やメール、過度にプライベートのことを聞く...etcです。 |
【5位】過小な要求 | ひたすらパシリ、掃除、雑用のような価値の低い仕事しか与えない、もしくは仕事を与えない...etcです。 |
【6位】身体的攻撃 | いわゆる暴力・傷害です。胸ぐらを掴んだり、モノにあたり威嚇するなども含まれます。 |
気づかぬうちにパワハラをしてしまっているケースやパワハラをされてしまっているケースもあるようですね!
パワハラ上司の特徴トップ5!
次にパワハラ上司によくある特徴や性質をランキング順に5つ挙げます。
まずは上司の特徴を把握することが対策の第一歩です。相手のどこを変えてほしいのか、どこまでは耐えられるのかを認識しましょう。
【1位】パワハラでないと本気で思っている
パワハラ上司がパワハラを自覚しているケースは多くありません。
パワハラ上司は、パワハラ行為を正当化しているため、自然にはなかなか無くならないのが実情です。
パワハラ行為を正当化している事例)
- これは部下のための指導だ
- お金をもらっているから当然の義務だ
- コミュニケーションの一環だ
自分の非は認めづらいもの。『自覚がないなら自覚をさせよう』という狙いは大抵うまくいきません。
【2位】過去の慣習や価値観が変えられない
次のようないわゆる『老害』の考え方で、過去の慣習から価値観が変えられないケースです。
パワハラ上司が過去に根性や精神論で乗り越えてきた経験は、『当然、部下もするべき』という考え方が根底にあります。
パワハラ上司の慣習や価値観の事例)
- 昔はもっと多くの仕事をこなした!
- 自分も上司からパワハラを受けてきた!
- 上司より早く帰ることなどとんでもない!
【3位】人事評価をちらつかせてくる
人事評価をちらつかせて部下を動かそうとする方法は、上司にとっては手間のかからない楽な手段と言えます。
本来の人事評価は、業務量や難易度に見合うプロセスや成果で決まるもの。
部下の業務状況の把握やコントロールをせずに結果しか見ないことは、部下の悩みに真剣に向き合っていない上司であり、職場での優位性を利用していると言えるでしょう。
評価を気にして上司のご機嫌を取っても、パワハラ状態は更に悪化してしまいます
【4位】自己感情のコントロールが効かない
自分の感情のコントロールができない上司は、次のような行動パターンをします。
他人の性格を変えることはほぼ不可能だと考え、『パワハラ上司とはできるだけ距離を置く』が対策になります。
パワハラ上司の感情コントロールが効かない事例)
- 公衆の面前で怒鳴る
- 無視をする
- 机を叩くなど、モノにあたる
感情をコントロールできない人には近づかないほうが無難!
【5位】自分の上司にはヘコヘコする
パワハラ上司は、自分の上司にはヘコヘコするケースが多いです。それは次のような性質を持つため。
要するに自分の保身からくる「会社から認められたい」という気持ちからパワハラ行動なります。
- 臆病で小心者
- 自分に自信がなく弱い
- 心配性で神経質
パワハラされやすい人の特徴
上司からパワハラされやすい人には傾向があります。次に事例として挙げます。
パワハラ上司は相手を支配したい気持ちが根幹にあるため『支配が容易な人』『支配したくなる人』は要注意でしょう。
- 真面目で仕事の指示に従順な人
- 人との対立を嫌う優しい人
- 仕事効率が良くない人(ミスが多い、スピードが遅い...etc)
- 優秀さをアピールする人
- マイペースで孤立しがちな人
- 嫉妬の対象となる人(容姿端麗、高学歴...etc)
『仕事熱心で他人に優しい魅力的な人』がターゲットになりやすいです。
それは、上司からの理不尽な要求に対しも真正面から受け止め、責任感から自力で解決しようとするためです。
【深刻度別】パワハラされた時の対処法
パワハラされた時の対処方法として、3段階の深刻度別に解説します。
- 【深刻度低】自分の考え方や行動を変える
- 【深刻度中】周囲を巻き込んで環境を変える
- 【深刻度高】上司を変えさせる
【深刻度低】自分の考え方や行動を変える
被パワハラの初期や軽度の場合は、自分のモチベーションや解釈次第で自己消化できるケースもあります。
慣れれば大丈夫というわけではありません。しかし上司の言動に過敏になり過ぎてしまうこともあるので、次のように一旦は意識的に距離を置くことを勧めます。
- パワハラ言動を受け流す
- 上司の機嫌をチェックする
- 上司に接する時間を短くする
上司も人間なので感情的になることもあります。数回の事象でパワハラと決めつけるのもよくありません。
常態化しそうであれば、一旦、距離を起きましょう!
【深刻度中】周囲を巻き込んで環境を変える
「自分では解決が難しい」「このパワハラは深刻だ」となったら、以下のような手段で周囲の人への相談を始めてみましょう。
その際、同僚や上司の上司が本当に信頼できる人かは慎重になることが必要。上司にチクられて状況が悪化するケースもあるためです。
- 労働問題改善を目的とした機関に相談する ※
- 同僚に相談する
- 上司の上司に相談する
- 各会社のコンプライアンス窓口に相談する
社内の人に相談し始めることに抵抗がある場合は、まずは次のような労働問題改善を目的とした機関(※)に相談してみましょう。
相談がメインのため、解決に向けた動きにはなりませんが、状況に応じた今後の対策を教えてくれるでしょう。
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局)
- 個別労働紛争のあっせんを行っている都道府県労働委員会・都道府県庁
- 法テラス(日本司法支援センター)
- みんなの人権110番(人権相談ダイヤル)
- かいけつサポート
» 関連リンク:厚生労働省|相談窓口のご案内
» 関連リンク:厚生労働省|労働条件相談ほっとライン
【深刻度高】転職を視野に徹底抗戦する
これまでの対策で改善が見られない場合は、転職を考えましょう。
パワハラ上司に対し「仕返ししたい」という気持ちはわかります。
しかし、次のような徹底抗戦は、あなたの貴重な時間やお金だけでなく、更にあなたの精神を削る消耗戦になることが多いため、止めておいた方が良いでしょう。
- 弁護士に相談する
- 労災認定を貰う
- 訴える
それでも「相手を放っておくわけにはいかない!」そんな人は ... » 日本司法支援センター|法テラス
パワハラ上司にしてはいけないこと
あなたがパワハラをされた際に、次のようなことはしてはいけません。
特に最初の『パワハラに耐え続ける』状態にならないよう気をつけましょう。能力がない自分が悪いと我慢し続けることで常態化してしまうためです。
精神状態がマヒしてしまう前に対策を講じましょう。
- パワハラに耐え続ける
- 理論的な反論をする
- 上司の反応に一喜一憂する
- 暴力を暴力で返す
自分を責めて、パワハラに耐え続けることが一番やってはいけない!
最終的には退職(転職)を視野に入れよう
『【深刻度中】上司の上司に相談』で解決しない場合は、会社自体にパワハラ文化が根付いている可能性があります。その場合は、そんな会社に固執はせずに潔く退職(転職)をしましょう。
パワハラを理由とする退職方法
まず、1ヶ月前までに退職届を提出しましょう。
一刻も早く退職したいのであれば、退職理由に「会社都合」と書くよりも「一身上の都合」とした方が無難です。理由は、退職時に波風を立てることで人事を始め周囲も反応し、スムーズに退職できずに本末転倒になるからです。
会社都合退職のメリットは、失業給付金が自己都合よりも3カ月早く支給され、給付日数も長い点があります。解雇の場合、最大30日分の給与に相当する解雇予告手当を受け取れます。
とは言え、退職日までの会社との関係や転職活動に及ぶ影響を考えて判断すべきでしょう。
採用側は事情を知らないので「この人はなにか都合が悪いことがあるとパワハラだと良いかねない」という逆の印象を持たれる可能性があります。
退職を決意したら、自分のために早く辞めることだけを考えましょう!
まとめ
以上、パワハラ上司の特徴トップ5と深刻度別の対処方法について解説をしました。
【2位】過去の慣習や価値観が変えられない
【3位】人事評価をちらつかせてくる
【4位】自己感情のコントロールが効かない
【5位】自分の上司にはヘコヘコする
特にパワハラ上司の特徴の第1位の『パワハラでないと本心で思っている』については、パワハラをされる人は認識をしておきましょう。
これは本人に伝えたところで状況が変わらないどころか、「逆に部下という立場を利用したパワハラだ」のような『ハラスメントハラスメント』になる可能性もあります。
要は、本日挙げた対処方法はあくまで『相手に仕返しをするため』ではなく『自分の環境改善のため』と認識することが大切です。
この記事であなたの悩みが少しでも解決できれば幸いです。
ではまた!